神奈川新人ギタリストオーディション速報

 

2003.6.29 第32回神奈川新人ギタリストオーディション合格者

 

1位入賞 山田大輔
2位入賞 安田真由子

本選出場者


本選採点表

本選出場者












 





 





 

 








興津典明
西


平均点
結果
安宅寛高
73
73
73
73
73
74
74
79
78
72
74
76
74
74.3
入選
山田大輔
84
81
85
81
86
86
82
80
81
80
87
78
80
82.38
1位入賞
児玉祐子
78
78
79
80
81
88
80
72
77
78
82
79
79
79.3
入選
一星有希
81
79
77
77
76
79
75
75
77
76
79
71
78
76.92
入選
大柴 拓
82
78
80
79
85
81
79
79
77
77
84
77
79
79.76
次席入選
林 直人
79
80
77
78
78
80
79
79
80
76
80
77
78
78.53
入選
松田浩平
80
76
75
74
79
73
77
82
82
73
77
75
76.91
入選
安田真由子
88
83
85
79
84
77
81
76
86
88
74
81
81.83
2位入賞

(/は師弟関係により採点なし、採点70〜90点)


神奈川ギター協会主催第32回新人ギタリストオーディションを終えて
                 神奈川ギター協会委員長:石田 忠、委員:川俣 明

 2003年6月29日神奈川県川崎市国際交流センターで第32回神奈川新人ギタリストオーディションが開催されました。今年は昨年より13名少ない33名の応募でした。今年の申込みは数日前になっても申込みが殆どなく昨年の過去最高46名の応募(神奈川新人ギタリストオーディションは神奈川県在住等、神奈川県に関わっていないと応募できないので記録的な数)の反動や、昨今のSARS騒動・イラク戦争そして景気の低迷などの影響で受験者が少ないのかと心配していましたが、ぎりぎりに申し込む人が多く結局は例年並の応募者に落ち着きました。協会として「ほっ」としているところです。オーディションは昨年度次席の1名を除く32名で予選がおこなわれ、課題曲のミランのパヴァーヌと3分以内の自由曲1曲が演奏されました。その結果7名の予選通過と昨年度次席の1名の計8名で本選に臨む事となりました。課題曲のポンセのワルツと6分以上10分以内の自由曲が演奏され、最終的には2名が入賞しました。基礎的なテンポ感・リズム感に基づいた上での余韻の美しさや、音楽表現という意味での音色の美しさ、豊かさはというのは、上級者であれば常に心がけねばならない事ではないでしょうか。そういう意味で今年の受験者は今ひとつだったような気がします。予選の課題曲のパヴァーヌは一見易しそうなので練習量が少なく、思わぬミスが出た人が多く見受けられました。また、きちんと弾けている人でも音楽を楽しそうに演奏している人が皆無だったのは残念です。コンクールのような時でも技術的に差が出にくい時は音楽の内容が勝負になる時もあります。常々、単に技術に走る事無く、音楽の楽しさや豊かさや内容を忘れてはいけない筈です。そして本選課題曲のワルツではスラーが良く出ていない人が多く見受けられました。もっと自分の音を良く聴いて練習して欲しいものです。
少し辛口になってしまいましたが今年の受験者は例年になく若い人が多く、これからを期待出来そうな人が多かったのは楽しみなことです。次に本選出場者の結果と私達審査員からのコメントです。


山田大輔<1位入賞>〔カバティーナより前奏曲と舟歌(A.タンスマン)/アラベスク3番・4番(小船幸次郎)〕
 昨年は本選に入りながら時間が少なく失格になってしまったが今年は見事1位合格となり昨年の雪辱を果たした。この奏者は兎に角、音色がきれいでバランスも良い。またリズム感もしっかりしている。音を点ではなく持続させようという姿勢がよく伝わる演奏である。ミスもほとんど無く、あまり減点できない良い演奏で、結果として首席入賞となったと思う。ただ、総評でも述べたようにホールに響きわたるような余韻の美しさと主張が無い。長い時間演奏を聴いたら飽きてしまうのでは、と思わせてしまう。音色の変化やアーテュキレーションなど工夫すればすばらしい演奏であるのにと実にもったいない気がした。


安田真由子<2位入賞>〔華麗なるロンドop.2−2(D.アグアド)〕
 昨年度次席で本選からの出場である。この技術的に難しい曲を良くこなしていた。また演奏も前向きで好感がもてる。課題曲のワルツなどリズム感も良く楽しめた。ただ課題曲のワルツの1拍目のプルガールなどが雑でもっと拍を跳ねてくれたらワルツがもっと活きたと思う。全体を通して基礎がとてもしっかりしているのに、ところどころ表現力の未熟さが感じられる。まだ高校1年生ということもあるのだろうが、技術も音楽も基礎ができているのだから更なる表現力を身に付けてまた聞かせて欲しい奏者である。また、敢て言い添えるが、楽器に指が負けていて本来の美しい音色が出ていないように聞こえた。是非、魅力ある音色を追求してもらいたい。


大柴 拓<次席入選>〔ギターの為の「リブラソナチネ」より第1楽章(R.ディアンス)〕
 この人は予選・本選共にディアンスを選ぶだけあって乗りのよいリズム感を持ってい
るしテクニックもある。音を前に飛ばそうという勢いには好感も持てた。音量も豊かだし勢いもある。しかし勢いあまって乱暴に聞こえるところや、もう一つ歌いきれない、響かせられないところなどがあり、特にワルツでその欠点が多く見受けられた。そのあたりで入賞を逸してしまた感がある。人に与えるインパクトなど良い感性があるのだから練習を重ねた来年の本選に期待したい。(次席は来年、予選免除)


児玉佑子<入選>〔ロートレック賛歌(E.S.デ・ラ・マーサ)〕
 どの曲をきいても良く歌っていて本選出場者の中では独特の雰囲気を持っていた。
選曲も歌心を表現しやすいものを選んだのだろう。課題曲のリズム感はワルツらしさが出ていて良かったのだがフレージングを意識し過ぎたのか不用意なテンポのゆれが惜しまれる。ロートレック賛歌は持ち前の歌心を感じさせる演奏であったがもう少し前向きな演奏をして欲しい。途中で飽きさせてしまう恐れもある。とても良い感性があるのだからもう一工夫で一層の飛躍を期待したい。


林 直人<入選>〔バーデンジャズ組曲より(J.イルマル)/星たちに寄せるロマンス (佐藤弘和)〕
 予選・本選を通して佐藤弘和氏の作品を選んでいる。佐藤作品の詩的雰囲気を出せる人のようだ。また演奏も成功していたように思う。ただバーデンジャズ組曲のボサノバの部分に入るとリズムの切れが悪い。もっとリズムを流さないで、軽い拍を感じさせるような演奏を目指して欲しい。


一星有希<入選>〔ロッシーニのオペラ「オテロの主題による変奏曲」(M.ジュリアーニ)〕
 テンポ感も良く勢いのあるダイナミックな演奏が出来る人だ。演奏する姿勢も安定感があって音楽表現とマッチしている所に好感がもてる。まだスラーの甘さや限界を越えるフォルテ・歌う部分でのビブラートなどなど、音楽の楽しさを表現するには、これからの課題も残っているように見える。


松田浩平<入選>〔バーデンジャズ組曲(J.イルマル)〕
 丁寧に演奏しよう、前向きに演奏しようと言う気持ちが良く伝わる。その半面丁寧さが優先してテンポが重くなる時がある。またバーデンジャズでは緊張のせいなのか勘違いなのかリズムの取り方に疑問が残る。さらなる精進を期待したい。しかし表現の上手さや意欲という面では実に豊かさを感じさせる奏者であったようだ。


安宅寛高<入選>〔バーデンジャズ組曲よりシンプリシスタ・ロンド・ア・ラ・サンバ(J.イルマル)〕
 ワルツはもっと1拍目に乗って演奏を意識して欲しかったのと、弾き込み足りないが故のミスと思われる弾き直しが目立った。シンプリシスタでは、始めの部分はよく歌って演奏できていたがボサノバやサンバになるとリズムの乗りが悪くなる。歌心もあるし音量も出せる奏者なので選曲を吟味すればとの思いもする。