神奈川新人ギタリストオーディション速報

 

2005.6.19 第34回神奈川新人ギタリストオーディション合格者

 

1位入賞  野島史行
2位入賞  上野 伸
 3位入賞 福井純一

 


本選出場者


 

     神奈川ギター協会主催第34回新人ギタリストオーディションを終えて
                        神奈川ギター協会実行委員長 石田 忠
 2005年6月19日 神奈川県横浜市開港記念会館で第34回神奈川新人ギタリスト・オーディションが開催されました。このホールは音楽会、観劇会などを行う多目的ホールとして大正時代に作られたものですが、震災や戦後の接収等により後に復興工事、修復が施され現在では国の重要文化財に指定されていて、非常に雰囲気のあるホールです。今年は過去最高の52名の応募があり大勢の応援者がかけつけ熱気のあるオーディションとなりました。
 今回は昨年度次席の1名と棄権2名を除く49名で予選がおこなわれ、課題曲のソルの『エチュード作品31-4』と3分以内の自由曲1曲が演奏されました。その結果本選には6名の予選通過者と昨年度次席の1名の計7名で臨む事となりました。本選では課題曲のブローウェルの『11月のある日』と6分以上10分以内の自由曲が演奏され、最終的には3名が入賞しました。今年は52名という多数の応募者の割には目立った演奏者が少なかったように思われます。
 
予選の課題曲のソルの『エチュード作品31-4』では声部の意識が薄かったり、アンダンテという指定にも係わらず遅すぎる設定の演奏や逆に速すぎる設定にした人が多く見受けられました。基準となる4分音符に対してどの程度のスピードにするかなどもう少し考慮して欲しいものです。また歌を表現しようと意識が優先して2拍子の音楽を忘れている人がかなり多く見受けられたのは残念なことです。
本選課題曲の『11月のある日』はブローウェルの作品の中ではメロディックな曲で、作品の内面をもくみ取りながら充分歌う事を要求される作品ですが、全般的にあっさりと演奏している人が多く、気を付けないと退屈に聴こえさせかねない演奏もありました。
さて、次に本選出場者7名の結果とコメントです。

 

本選
出場者












 








 










 












西


堀井義則


結果
福井純一
83
83
80
79
84
77
84
79
83
72
80
77
78
83
80

81

80.1875
入賞
目黒明子
 
0
 
林 信太郎
78
78
80
80
85
76
82
77
80
76
79
79
80
78
81
78
79.3125
次席入選
萩野英成
77
79
85
79
82
76
73
78
78
75
80
76
77
76
79
77
77.9375
入選
上野 伸
86
84
78
81
86
75
80
81
74
84
81
85
79
78
83
81
入賞 
林 祥太郎
76
85
76
78
83
77
75
77
79
73
79
78
79
78
77
78
入選
野島史行
85
84
85
82
87
78
77
80
79
71
85
82
84
81
81
76
81.0625
入賞  
『/』欄は師弟関係の為、審査員は審査に参加していません。


1.福井 純一<入賞>
予選: プレリュードBWV998より(J.S.バッハ)
本選: タンゴ・アン・スカイ(R.ディアンス)リブラ・ソナチネよりフォーコ(R.ディアンス)
 福井氏は音楽に対する感性の良さを感じさせるが、全体的に線の細い演奏になっている。ハードの音色を多用しすぎて音楽が単調になってしまうきらいがある。タンゴ・アン・スカイはスマートな演奏で聴きやすかったが、濃淡が足りず少し物足りない感じ。フォーコは全曲を通してもっと勢いで弾ききって欲しいところだが少しだれる部分があったのが惜しまれる。課題曲のブローウェルは後半で雰囲気を出すつもりだったのだろうが前のめりに聴こえてしまった。

2.目黒 明子
予選: 昨年度次点により免除
本選: パルティータ(S.ドッジソン)
 課題曲のブローウェルはもっと歌って表現して欲しかった。パルティータは途中つまずいてやめてしまい規定の時間に達しなかった為失格となってしまった。何とか最後まで演奏して貰えばと残念であった。

3.林 信太郎<次席入選>
予選: ベネズエラ・ワルツ第3番(A.ラウロ)
本選: 森に夢みる(A.バリオス)
 課題曲のブローウェルは、テンポがとても安定していて聴きやすい反面、単調な感じでもあった。もう少しフレージングなど工夫して奥行きのある演奏が望まれる。森に夢みるはトレモロに神経が行届きとてもバランスが良く、聴いていて心地よい演奏だが、やはり飽きてしまうところがある。全体の構成感が薄弱でダイナミズムに欠けがちな事が原因と思われる。さらに弱拍の表現について工夫がほしいように思えた。

4.萩野谷英成<入選>
 予選:プレリュード(N.コシュキン)
本選:セビーリャ幻想曲(J.トゥリーナ)
 課題曲ブローウェルは よく歌っていたのにミスが勿体ない。セビーリャ幻想曲はだれてしまうところがあり、聴き手への説得力が欠けてしまう。もっとフレージング等を工夫して前向きな演奏を持続できるようになればと思う。

5.上野 伸<入賞>
予選: 五つのバガテルより_(W.ウォルトン)
本選: フェリシダージ(A.C.ジョビン)リブラ・ソナチネより第3楽章(R.ディアンス)
 課題曲ブローウェルは、よく歌えているし、タッチもしっかりしていて音量豊かで表現力もある。しかしながらスケールの部分で、感情が優先するのかギターの響く限界を越えてしまう所が惜しまれた。ジョビンはとてもよいリズム感で楽しく聴けた。コンクールでポピュラー音楽を弾く人は珍しいが、フォーコと対比のあるサンバ系の音楽が上手くマッチしていた。フォーコでは演奏に勢いもあり、テクニックを感じさせる奏者だが、少しのミスが惜しまれた。

6.林 祥太郎<入選>
予選: はちすずめ(J.サグレラス)
本選: ブエノスアイレスの春(A.ピアソラ)
 課題曲ブローウェルはさらっと弾いているので何か物足りない感じがする。もっと曲の内面を見て感情移入して欲しい。ブエノスアイレスの春はタンゴの持つ躍動感と鮮烈なリズムが望まれる。アクセントなどの工夫が欲しかった。また中間部ではもっとピアソラ独特の甘美な世界を感じさせてくれたらと思う。はちすずめを予選の自由曲にもってくるなどテクニックは抜群なので、メその先にあるものモ がこれからの課題 。

7.野島 史行<入賞>
予選: フォーコ(R.ディアンス)
本選: アレグロBWV1003(J.S.バッハ)ソナタより第3楽章トッカータ(L.ブローウェル)
 課題曲のブローウェルは 表現力に優れ歌心もあり、説得力のあるたいへんよい演奏だった。   
バッハは拍子感覚は良いが、拍に対する意識が少し薄いせいかアレグロの感じが今ひとつ伝わってこなかった。トッカータはもう少しメリハリが欲しい。予選でのフォーコは気持ちが途切れることなくすばらしい演奏で、テクニックもある奏者なので今後が楽しみである。